除草剤パラコートはパーキンソン病の原因因子

ミトコンドリア機能障害による毒性が強い除草剤パラコートは,ヒトでパーキンソン病様の症状を起こした合成化学物質MPTPとよく似た化学構造をもち,動物実験でもパーキンソン病と同じ症状をおこすことが報告されています。MPTPは、合成麻薬に混入していた神経毒で、麻薬中毒者がMPTPの混じった麻薬を使用した後、パーキンソン症状を起こした事件がありました。疫学研究からも、パーキンソン病はパラコート、殺虫剤ロテノンなどの農薬曝露との関係が強く疑われています。フランス政府はその因果関係を公認して,2012年にパーキンソン病を農業従事者の職業病と認定しています。ロテノンは神経毒性が高く、2006年に農薬登録を失効しました。

パラコート以外の除草剤

除草剤はパラコート以外にも種類が多く、多量に使用されています。現在よく使われているのは、ベトナム戦争の枯葉作戦で使用された2,4−D、環境ホルモン作用が確認されているシマジン、遺伝子組換作物と組み合わせて開発されたグリホサート、グルホシネートなどです。
ベトナム戦争時、2,4−Dを用いた枯葉剤には製造過程でダイオキシンの混入があり、そのために枯葉剤を浴びた兵士の子どもたちに多くの奇形児が生まれた悲劇がありました。シマジンは環境ホルモン作用があるとして、EUでは2009年に登録が失効していますが、日本では使用され続けています。
除草剤は植物の代謝だけを阻害すると宣伝されてきましたが、人間や動物への影響がすでに報告されているものも多くあります。

 

グリホサート、グルホシネートについてはこちらで詳しく説明します。