殺菌剤は病原菌以外にも有害

殺菌剤は農産物に感染する病原菌を殺す農薬で、代謝系や細胞分裂、タンパク合成、核酸合成を阻害するなど、多様なメカニズムを介した作用があります。これらの過程には生物に共通もしくはよく似た生理化学物質が関わっているため、殺菌剤は病原菌を殺すだけではなく、人間や他の生き物への毒性や環境ホルモン作用などが後から判明して、登録が失効になったものが多数あります。

 

殺菌剤の毒性記事一覧

トリブチルスズは、1977年に農薬登録が失効し、1979年に家庭用品への使用が禁止、1987年に養漁網への使用が自主規制された殺菌剤ですが、強い環境ホルモン作用や免疫毒性が報告されています。1990年代、日本の近海ではトリブチルスズの汚染が広まり、巻貝イボニシのメスのほとんどに生殖器異常が起こり、ペニスが形成されていた原因として報告されました。動物実験では、哺乳類への環境ホルモン作用が多数報告され...

農薬として使用されている抗菌剤(抗生剤)も、分類では殺菌剤に属しています。抗菌剤の総使用量中、農薬として使われているものは9%にも及び、意外に多く使用されています。家畜や魚の養殖にも多用され、例えばオキシテトラサイクリンなどは、農作物や養殖魚で残留基準が決まっている抗菌剤ですが、ヒトの医療用にも用いられています。抗菌剤の乱用は、抗生物質の効かない耐性菌を生む可能性があり、人間自身に作用しなくとも、...