浸透性殺虫剤フィプロニルとエチプロール

フィプロニルとエチプロールは、ネオニコチノイド同様に浸透性で、植物全体に浸透するので、残留すると洗っても落ちない。

 

フィプロニルは、ハチや生態系に悪影響を及ぼすことが判明して、EUでは2017年に登録抹消された。
日本で赤とんぼが激減したのは、フィプロニルとネオニコチノイドが原因と報告されている。

 

フィプロニルとエチプロールの標的は、重要な神経伝達物質GABAの受容体。
GABAは、昆虫だけでなく、ヒトを含む哺乳類で共通の神経伝達物質で、受容体も類似性があるので、哺乳類にも悪影響を及ぼす可能性がある。
Neurotox Res. 2021 Aug;39(4):1189-1202. Developmental Neurotoxicity of Fipronil and Rotenone on a Human Neuronal In Vitro Test System.Anne Schmitz et al.

 

エチプロールは毒性の高いフィプロニルの代替として開発され、フィプロニルよりは急性毒性は低い。
しかし、エチプロールを妊娠マウスに母体経由で投与すると、仔マウスに行動異常が起こるという論文が報告されている。
Birth Defects Res 2017 Nov 15;109(19):1568-1585. Reproductive and Neurobehavioral Effects of Ethiprole Administered to Mice in the Diet.Toyohito Tanaka & Akiko Inomata.